第零章
「これは、“彼”の祖先の話だ。」
もう、それはそれは酷な世界だった。
産まれた事を憎み、哀しむ様な
喜びなど、何処にも無い世界・・・・
その世界では、全ての民が、命を奪い合った_
_そんな中、彼は産まれた。
母親は彼に名をつけることはしなかった。
何故なら、彼を育てるつもりなど無いから。
この世で生かすには、あまりに残酷過ぎる現実、
産まれればすぐに死ぬという世界が、彼を待ち受けるから・・・
母親は彼に、“貴方は……家の血を受け継ぐ子だから”と告げ、
_そっと、人目の無い山奥へ置き去りにした_